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俺がこいつの秘密を知ってしまったからだ。
それは俺の不注意とこいつのバカアホドジマヌケさが引き起こした悲劇なのだ。
「何よ、その眼は。何か文句でもあんの?」
俺がおまえに対して言うことなんざ、文句以外ねえよ。
とは思いつつも、何か言ったら十八倍は言い返されるから何も言いはしなかった。なぜか男は武力行使に出なければ女には勝てないらしい、この現代では。
男尊女卑を肯定はしないが、こいつと話していると、俺はその時代を羨ましく思う。秘密を握ってるのは俺なのに、立場が上なのはこいつなのだ。
ものすごい理不尽さだよな。
俺は深くため息を吐いてノートパソコンのディスプレイに視線を戻した。
こめかみをおさえる。何たる屈辱だろうか。同い年の女の子に妹を攻略するエロゲーをやらされるなんて。
そして、それを観察されているのだ。後ろからジーッとな。馬鹿だろ、こいつ。
何たる恥辱っ! ていうか新手の拷問だろ。
とまぁ、現在のことはこれくらいにしよう。俺が知ってもらいたいのはこいつが完全無欠な美少女であることと、俺がこいつの秘密を握ったせいで苦労している、ということなのである。
さて、そろそろこいつの秘密を明かそうか。聡い方ならお分かりいただいてるとは存じるが――。
まずは俺とこいつ、――神巫 姫華(カンナギ ヒメカ)との出会いから語らせてもらおう。
これは姫華の秘密を明かす話であり、姫華によってもたらされた俺の不幸の物語でもある。
そう、それは始業式の日から始まったのだ――
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