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だが不思議なことにそのヤンキーに進んでいく卒業生の中で人として悪い人間は一人もいなかった。
「おう、直仁!またお前パンチあてたんか?」
新一の父親が少し酒臭い声で言った。
「次は二グロにするっすよ!」
遅れて和良が入って来る。
「エビフライ揚がったよ~」
新一の母親が揚げたてのエビフライを出してきた。
新一たちは勢いよくかぶりついた。
「おう、新一、そーいやまた瀬戸さんが来たぞ」
新一の父親が言う。
「えっ!マジで?瀬戸さんなんだって?」
「なんか単車が目立ちすぎるからもうちょいおとなしい改造にしろってよ」
「なんだそれだけか」
瀬戸さんとは新一たちの地元の派出所の人である。
新一たちが暴走族まがいのことをしているのは知っているが、捕まえることより逆に事故などの心配をしてくれるおじさんだ。
新一たちよりだいぶ昔の先輩からも慕われている優しいおまわりさんだ。
「なぁ和良、飯終わったら庵治裏行くよな?」
「おう、行こうぜ!」
庵治裏という場所は新一たちの地元にある海沿いの道で、暴走族だけではなく、ツーリングの人やカップルも行くようなイケてる場所なのである。
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