落とし穴

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  猫が居た 気付かなかった 1+1=2 気付かなかった ここは私の家 気付かなかった 気付かなかった 気付かなかった 気付かなかった 気付かない方が幸せだった でも気付いてしまった 私は○が欲しい けどそれは○じゃない 私は△になりたい でも△にはなれない 私は×はいらない なのに×ばかりあふれた 欠けていく 欠けていく 欠けていく 部屋の隅から 空の裏側から レンズの向こうのその向こうから ぱらぱらと 崩れ落ちた その先は 夢を飲み込んだ、大きな底無しの穴 母が居た 誰も居ない 友達が居た 誰も居ない 赤の他人が居た 誰も居ない 誰も居ない 誰も居ない 誰も居ない そこから始まる 全てのお伽話 登場人物は 誰も居ない 私は○を手に入れた それが○ではないと知らずに 私は△はやめて□になった だけど△も□も変わっていった 私は×なんて知らない だから×を隠した 歪んでいく 歪んでいく 歪んでいく 水中の魚の目が 逆さになった時計の目が 鏡の中の黒い目が 本当は 壊れ て  い たん だ この世界 歌 記憶 感情 声 丸い丸い地球が廻らないのは 誰のせいだった? 気付いたなら、足元を見て 絶望を見付けた 少年の表情が 青過ぎた果実のような 少女の身体が 泥から浮かび上がってくることに気付いて どろどろと 孤独に流れ落ちて 逝くのは もう抜け出せない、深い奈落の海の底  
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