ICUは何の略?

4/4
1952人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
目が覚める。朝なのか? 窓も時計もないけど、電気だけはついている。 暫くすると看護士さんがやってきた。 時間を聞くと午前10時を回ったところだった。昨日から時間の感覚が麻痺していたので、体内時計をそれに合わせてみた。 そんなこんなで主治医登場。 タレントの勝俣みたいな髪型してる先生だった。 勝俣は声だけデカいだけが売りなのに、上手に世の中渡ってます的な感じがするのであんまり好きではない。 『とりあえず点滴含めて全部外しましょう。』と勝俣似のくせに嬉しい発言。 そしたら『そのまま別室へ‥』と意味深発言。で、別室に行ったら半泣き状態の両親がいた。 危険な臭いプンプンです。 椅子に座ると、パソコンのモニターによくテレビのドラマなんかに出てくる体の断面図みたいのなが映っている‥ 「ちょっとヘビーなお話になるんですか?」と軽くジャブを撃つと、勝俣似は超早口で、 『ハッキリ言います。頭部と胸部に腫瘍。頭部は出来るだけ早く除去しなければ、脳に更なる歪みを引き起こし、かなり高い割合で生命に危険が及びます。現在、脳の腫れを引かせる薬を投与しているので、ある程度の数値まで来たら、即、手術だ!いいね?』 「はぁ?あんた何言ってんの?早口で全然わからねーよ?」と言おうとするけど、言葉にならない。 更に泣き崩れる母親。 『昨日のMRIのデータによれば脳の腫瘍は4~5センチ。場所も難易度の高い箇所ではないから任せておいてもらいたい。ついてはこの手術の同意書にサインをして欲しい。 しかし、手術をするからには失敗して最悪、死亡。合併症や後遺症などの可能性は決してゼロではないから、よく読んでサインをして欲しい。』 「oh No!」 てか、聞きたくない単語ばっかりじゃんかよ? 背中に変な汗。 喉か詰まって声がでない。 耳鳴りがフルマックス。 沈黙が通り過ぎる‥。 頑張って深呼吸。 頭が回り出す。 「自分は癌」 「死ぬかもしれない」 「ガーン( ̄□ ̄;)マジ!?」 もう一度深呼吸。 目を閉じる。 頭を整理し出す。 一瞬で色んなコトを考える。 覚悟を決める。 目を開き、一言発する。 「やっちゃって下さい!」 廊下に出たら涙目の母親に頭をしばかれた。 我ながらバカな喋りが染み込んでいて、恥ずかしかった。 部屋に戻ると、一般病棟への引っ越しを告げられた。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!