そりゃビビるさ誰だって

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朝になった。 そう手術の朝だ。 水だけしか飲めないし、なんか気合いも乗らない。 またあの手術着に着替えなくちゃいけないし‥ 両親が来た。 相変わらず不安そうな顔だ。 手術は午後からスタート予定だったけど、前のオペが押してるみたいでなかなかお呼びが掛からない。 母親と父親が食事してくるなんて言って病室を出ると、入れ替わりに見覚えのあるコートを着た大きめなバッグを下げた女性が病室に入ってきた。 前髪を掻きあげながら『あれ?もしかしてこれから手術?』相変わらず人のメールをちゃんと読まない女だ。 少し驚いた顔をしているのは例の彼女だった。 「メールした通りだよ?」少し意地悪してみる。 『そんな言い方はなし。営業中に来てあげたんだから感謝してよね?』と、軽くキス。 『また来るから‥』 サラッと僕の頬を撫でて、病室をあとにしていった。 僅か2分でお見舞い終了。 これは、お見舞いノートに記載するのはなしにする。 彼女と知り合ったのはいわゆる合コンだった。後輩に人数合わせのために召集され、居心地のよろしくない飲みだった。 『どこ住んでんの?』 対面に座っていたのが彼女だ。年上に対しても物怖じしないしゃべり。 不快じゃなかった。 「○○だよ」って普通に答えると『あ、ふた駅だね』 そんなご近所の縁から、なんとなく繋がっていった。それから何度か一緒に飯食ったり、割と軽い付き合いをしていた。 初めて彼女の部屋に行ったのは休日の夕方『助けて‥』なんて電話が掛かってたからだ。 慌てて駆けつけてみると何のことはない。頼んだ宅配ピザが食べきれないから一緒に片付けて欲しいって話だった。 「初めからそう言ってくれる?こっちは少なからず心配すんだからさ」って少々怒り気味に言っても、 『食べないと冷めちゃうよ?』 「はいはい」 ビールをガブ飲みして、ピザを食べきって、彼女も食べた。 両親が戻ってくる。 午後2時を回っている。看護士さんがやってくる。 ベッドのままベーターに乗せられ、ICUに待機。 その時下半身に電動サポーターみたいなのを装着された。 エコノミークラス症候群を防止するんだって話。気持ち悪いけど、しなきゃダメらしい。 いよいよお呼びがかかる。 やっぱり、ビビるよ! 誰か替わってくれ! 手術室へと運び出される‥ 運んでる看護士のお姉さんに話し掛ける。「成功したら、合コンしてくれませんか?」 しかし、返事はなかった‥image=220428555.jpg
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