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『いきなり何なんですか?』
笑いを堪えながら看護師のお姉さんが起き上がる。
「実は僕、仕事でお笑いやってるんです‥」
『え?本当ですか?』
「いぇ、嘘です」
『何なんですか、もう!』
いい雰囲気である。
少し前まで死線を彷徨ったって雰囲気は微塵もない。
お姉さんは笑顔で僕を叱りながらお仕事を始める。
『お名前は?』
『ここはドコ?』
『何月何日?』
記憶が正常かどうかの質問。
何とか全問クリア。
そうこうしてるうちに、勝俣似がまた登場。
『コレ、もういいよ?』
と言って、鼻の管をいきなり引き抜く。
鼻から喉を通って胃まで通ってた管だけぬ‥ヌラヌラっと嫌な感触。
でも、抜ければスッキリ!
次は頭の管。
割と簡単にスポスポ。
あとはホチキスみたいのでパチパチ。ちょい痛。
抜いたらすぐに、小さい水差しみたいので看護師さんが水を飲ましてくれた。
「水うめぇ!」
思わず歓喜の声。
しかーし!
安心したのも束の間。
『ほら、輸血のトコも抜いちゃうからね。』
と、言いながら右手をグルグルと縛り上げる。
そして、更に手首をギュウギュウに締め上げる。
『ほら、痛いからね!』
「ズボッ!」
動脈から素早く管が抜きとられ血液が飛び散る。
マジに痛い!
それに合わせて更に手首を締め上げる勝俣似。
身をよじりながら耐える‥ひたすら耐える‥
とにかく耐える‥
やっぱ無理!「うぉ!」声を上げる!頭が白くなる位の痛み。
マジにこれまでの人生で最大級の痛みだ!
『2・3時間したら止血できてるだろうから、そしたらお昼も食べてもいいよ?』
勝俣似が淡々と話す。
「調子に乗った罰か‥」
そんなコトを思いつつ、勝俣似の背中を見送る。
力が入らない。
また、眠りがやってきた。
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