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店内は薄明かりの落ち着いた感じで、木目調を基本とした本格的なバーであった。
『スケコマシの好きそうな所だ』
アキラはキョウにまだ殴られて少々痛む鼻で笑った。
そしてその痛みの度にゾッとするようなキョウの殺意を感じると一瞬怯む自分を押し殺そうとした。
『いらっしゃいませ。
お二人様で』
アキラとニムの場違いな姿を物ともしない七三分けの爽やかなマスターが2人をカウンターに案内した。
『オレはジンをロックで。
コイツはコーラ。
カロリーオフとかは気にしないでくれ』
ニムがそう言うと、アキラはフン!とまた痛む鼻で尖った。
アキラはおちょこ一杯の量のビールでも頭痛を起こすのだ。
何度となく強くなるよう挑戦したのだが、即倒れて吐き眠ってしまう。
ニムは逆に殆どの酒を口にする。
酒は10才になるころからか既に水を飲むより飲んでいたらしい。
父親も相当な酒好きだったらしい。
マスターはほんの一瞬にして2人にジンとコーラを出した。
『マスター、ここはもう五年くらい?
前の店が確かスナックやってたよね?』
ニムはグラスのジンを軽く飲み干してお代わりを頼みながらマスターに問いかけた。
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