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『六年になりますね。
しかし突然のこの不景気ですから、なかなか難しいですよ』
マスターはお通しと箸をさりげなく置いた。
突然入り口の扉が開いた。
若い女性が店内に入ってくるなり辺りを見回した。
派手な化粧と巻き髪。
どう見ても水商売の女だ。
『マスター、レンヤは来てない?』
女はアキラとニムを気にやる素振りもなくカウンターへ割り込んだ。
『セイカさん、レンヤくんは今日はまだいらしてないですよ』
マスターは後ろにある高級な白ワインを棚から取り出すと、セイカに注いで出した。
『一昨日からメール来ないし、携帯もでないんだよ!
もし他の女と出掛けたら私‥わたし‥』
アキラとニムは顔を合わせた。
明らかにレンヤの女だ。
アキラと別れた後絶対にメールのやり取りはしているはずだ。
アキラは苛立ったセイカに声を掛けた。
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