―決勝⑧―

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遼)「……(これで幾分かは熱くなるか…?)」 遼は相手バッターを一瞥しながら次のサインを出す。 《カチャ、ググ…》 真人)「――…っ!」 《ギュォォン!》 敵打者)『っ…!』 遼)「――…!」 《ドシィィイ!》 審判)「ボール!」 3球目は外角に外れ、これで1―2となった。 真人)「ふぅ…(ダメか…熱くなったら、引っ掛けてくれたんだけど…)」 俺は小さく息をついてロージンに触れ、遼のサインを見る。 遼)「……」 真人)「――…!?」 俺は遼のサインに、内心驚いてしまった。 遼が出したサインは… “内角高めにライズボール” 真人)「……(相手は冷静なんだ…そこは打って下さいのコースだろ…?)」 遼)「……(心配するな、俺を信じろ!)」 遼は小さく微笑みながら頷き、内角にミットを構える。 《カチャ、ググ…》 真人)「――…っ!」 《ギュォォン!》 俺は半ば、やけくそで内角にライズボールを投げた。 《ドシィィイ!》 審判)「ストライーク!」 真人)「ぇ……?」 しかし、相手バッターは内角の甘い球を打たず、見逃して来た。
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