―決勝⑧―

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真人)「……(どうして…? 打とうと思えば打てる球を…)」 遼)「……(簡単なことだ。 こいつは冷静になったわけじゃない。 ただ、真人の球にビビって手が出ないだけなんだ)」 遼はもう一度頷いて俺にボールを返した。 真人)「ふぅー…」 しかし、その意図がわからなかった俺は、取りあえずストライクが決まったことに安堵する。 そして、間を取りながらロージンに触れ――… 《ズキッ…!》 真人)「うっ…!」 …――ようとしたが、急に右肩に痛みが走る。 真人)「……(ヤバい…ライズボールの多用で、右肩が限界に近い…)」 俺は気付かれないようにロージンに触れ、マウンドに置いて打者と対峙する。 真人)「……(あんまりのんびりしてられないな…)」 《カチャ、ググ…》 真人)「――…っ!」 《ギュォォン!》 敵打者)『クソッ!』 《キィィン!!》 相手バッターは俺の内角のライズボールを叩き付けるように打ち返した。 良司)「任せろ!」 《パシィイ、シュッ!》 審判)「アウトー!」 『ワァァァァア!!』 実況)『・・君の打球をショート、社君が華麗に捌きアウト! ついに日本! 世界一に王手がかかりました!』 真人)「……」 俺の… そして、みんなの悲願である世界一まで… …―“後一人”―…
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