―スタート―

3/10
前へ
/402ページ
次へ
華穂)「みんな…行っちゃったね」 華穂は俺の隣に立って、飛び去った飛行機を見つめながらそう言った。 真人)「うん…でもこれは別れじゃないから。 …寂しくないよ」 俺はそう言って松葉杖をつきながら出口に向かう。 華穂)「全く…ついこないだまで、私がついてた松葉杖を…まさか真人も使うとはね」 真人)「アハハ…」 俺は苦笑しながら華穂と共に空港を出て、タクシー乗り場に向かう。 華穂はもう、普通に生活するには問題ないらしく人並みに歩いている。 華穂)「帰ったら、部屋の掃除とかしなきゃね」 真人)「父さんも母さんも、それに美穂さんも良く許したよね?」 華穂と同棲することを、反対されるのを覚悟で連絡したが、案外すんなり許してくれ、父さんが手配してくれていた。 華穂)「当然よ! だって、私が説得したんだからね!」 華穂はそう言ってエヘンと胸を張った。 真人)「あ、帰って掃除が終わったら華穂は英語の勉強しなきゃね」 華穂)「うっ…嫌なこと言わないでよ…」 真人)「大丈夫だよ。 日本英語と違って、こっちは読めれば良いだけなんだから」 華穂)「それでも…なぁ~…」 華穂は深く溜め息をついて肩を落とす。 真人)「頼むよ、これから長いんだからさ」 華穂)「…うん///」 華穂は顔を赤らめながら頷き、俺の服の袖を摘んだ。
/402ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2483人が本棚に入れています
本棚に追加