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「藤堂さん、まだ書いてるの?」
クラスメートの結城に苦笑混じりで言われ、私も苦笑するしかなかった。
「なかなか終わらないんだよね」
帰りのSHRから密かに書いていたにも関わらず、未だに仕上がってない日誌。
あれから約30分は経つ。……結城から見れば確かに「まだ?」と言われても仕方ない。
「もう少しだね」
トントン、残りの空白を長い指で叩かれ、嫌味かちくしょー!と心で毒つくのは、ごめんなさい余裕が無いんです。
(結城のキラキラが眩しすぎる……くそぅ、心臓に悪い!私にイケメン耐性なんて皆無なんだよ!)
絶対にと断言出来るほど、整った綺麗だけど異性を感じさせる甘い顔立ち。
高い身長に運動も勉強も良く出来て、誰にでも優しい性格(私にも消しゴムを貸してくれた!優しい!)
とくれば必然的にモテまくる。
だけど彼女の噂や女癖が悪いとか聞いたこともなく、それも相まってファンクラブもあったりするらしい。
そんな学校の王子様みたいな結城に話しかけられ内心どぎまぎしたが、また下を向いて書く作業に戻る。
結城も忘れ物でも取りにきたんだと思う。
ただ席が隣なだけで今みたいにたまに話す関係なのが私たち。
それだけの関係だと私は認識していた
な の に
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