序章
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視界がぼんやりとしているのに気付いていながら、何を思うでもなく、ただぼんやりと立ち尽くしていた。白っぽい、いや、黒っぽいのだろうか、とにかく瞳は霧に霞む森を映していた。 ふと、意識が戻った。 ――私は、誰だったっけ。 あまりに長く生きすぎた。膨大な時間は寧ろ、死に近いものなのかもしれない。
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