遠いあの日

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    からりと晴れた日のことだった。私は落ち葉を踏んで、音を楽しんでいた。木漏れ日がちらちらと地を舞う。 「あー、平和だ」 「退屈の間違いじゃないの?」  ぽつりと呟かれた言葉に、皮肉を込めて返す。かしゃかしゃ鳴る落ち葉も興ざめだ。気だるくヤツの顔を見上げれば、そうだなと言わんばかりの苦笑。彼の自慢の金髪も、どこかだるそうに見えた。  幾度も季節が移り変わった。何度目なのか数える気にもならない。「上の世界」から追放された私たちふたりは、当て所もなくさ迷い歩いた。  
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