遠いあの日

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「私は、この世界に居る方が辛いかもしれない」  もし輝きを知らなければ、こんなにもそれを欲することはなかっただろう。悔しさも悲しさも、知らなかっただろうに。 「上の世界」に居た頃も、確かに不満ではあった。とてつもなく退屈で、生きている心地がしなかったからだ。けれど、それが当たり前だった。当たり前だからこそ、沸々と込み上がるこの想いを知らなかった。 「俺はこっちの方が良いな」  怪訝な顔をして彼を見れば、まだほんのりと眠そうにしていた。真面目に考えていないのではと疑う私に気付いてか、一瞬で真剣な顔つきへ変わる。 「悔しさも、もどかしさも、生きてるって感じがして好きなんだ」  そう付け足して。   
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