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悪魔は人心を惑わせる。
それが彼女の仕事でもある。何が得をするのかは分からないが世界の仕組みな以上しょうがない。
「おい,そこの人間」
呼びかけるが反応しない。気づいてないのだろうか?
「貴様のことだ,人間。亜心を無視するな」
近づいていって肩を叩く。安いコートの生地が多少不快だった。
するとその人間は今生まれましたとでも言わんばかりに飛びあがって驚いた。
「急くな急くな。亜心の話を聞くがいい」
その男は近くで見ると意外と若いことが分かる。銀行を見上げ何をしようとしていたのかも分かる。亜心は溜め息をつきながらその青年に話しかける。
「亜心は,悪魔だ」
そのものの核心から話す。
「貴様が望むのならば,貴様の魂,心の一部と引き換えに,願いを叶えてやることが出来る」
青年は何が起きているのか分からないのだろう,目を白黒させている。だが,そこは悪魔である,人の魂に直接話しかけ,自分の伝えるべき意思を直接響かせ理解させる。
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