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「僕の計画は銃が無くなった所で破綻しました。それを,成功させることもできるんですか?」
「ちゃちな拳銃でちゃちな人格にちゃちな計画。それでも亜心と会えたのがお主の最大の幸福じゃの。つまりそれはお主がしようとしてたことが成功するようにすれば良いんじゃな?」
「出来ますか?」
「良いじゃろう,契約成立じゃ。今からお主が素手で銀行に入って行っても強盗が成功するようにしてやろう,当たり前だが銀行強盗をする,という意志で入らなければ無駄じゃぞ」
それでは,対価は貰って行く。そう言うと青年の目の前にいた悪魔の姿は霞のように消えていった。
青年は銀行の前まで来て頭を掻く。先まで見上げていた時の憎悪,怨嗟が浮かんでこない。
そのまま何故自分があんなことをやろうとしていたのかが分からなくなり,帰っていった。
「全く,人間というのは悪魔よりも悪魔的だな。さて,頂いた『悪意』はどうするかの,仕事中では無かったが,亜心が自分の物にしていいものやら」
悪いことをするのは悪魔の仕事だというのに。
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