ボンベイ・サファイアという名のDRY GIN

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俺はアルコールが好きだ。 俺自慢のアルコールコレクション達がリビングの棚に飾ってある。 ふと、その中の一つが気になったので手に取って繁々と見つめてみた。 澄みきった青い色の瓶 『BOMBAY SAPPHIRE』とラベル付けされた酒瓶。 いつまで眺めていても飽きないでいられる。 きっと、1時間眺めていても俺の心は満足を示さないだろう。 それ程までに俺はこの『BOMBAY SAPPHIRE』を愛して止まない。 ふと、酒瓶が動いたように思えた。 『ふふ…疲れてるのかな』 俺は酒瓶を棚に戻し、煙草に火を点けた。 『おい、兄弟……おい!』 突然そんな声がどこからともなく聞こえてきた。 この部屋に俺は独りのはずだ。 誰かの声がするなんてありえない。 『おい!こっちだこっち!』 声のした方を見ると、アルコールコレクションの棚がある。 『よう兄弟!随分と久し振りじゃねーか。暫くオイラを飲んでくれなかったけど、何かあったのかい?』 声の主は先程手に取り眺めていた酒瓶だ。
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