後夜祭まで生き残れ

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「結構、動きにくいから、あんまり無理するなよ……」 「うん、わかった!」 と、言って、ぬりかべの衣装をクンクン嗅ぐ羽瑠。 「もしかして汗臭いか?」 「えっ! ううん、大丈夫だよ……汗臭いとかじゃなくて、何か悠くんの匂いだなぁって思ったら嬉しくなっちゃって……」 少し頬を赤くして俯く羽瑠。 「そっ、そうか……」 日頃は男友達として接している為、時折見せる羽瑠の女の子っぽい仕草にドキッとする。 「じゃ、じゃあ、俺行くわ……」 「うん、ゆっくり休憩して来てね!」 ぬりかべから出る短い手を一生懸命振って見送ってくれる羽瑠。 教室を出た途端、何かが倒れる大きな音が聞こえたが、聞こえなかった事にしとこう。 と言う訳で、休憩となったんだが、若葉はまだ休憩じゃないし、瞬と雪菜も休憩じゃない。 「一人で回るのも何か寂しいな……」 ボソッと、寂しい本音を吐いた時だった。 「ししし、不知火君!!」 緊張のあまり裏返った声で誰かが俺を呼び止めた。 緊張される程、大それた人間でもないんだが……
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