2834人が本棚に入れています
本棚に追加
「結構、動きにくいから、あんまり無理するなよ……」
「うん、わかった!」
と、言って、ぬりかべの衣装をクンクン嗅ぐ羽瑠。
「もしかして汗臭いか?」
「えっ! ううん、大丈夫だよ……汗臭いとかじゃなくて、何か悠くんの匂いだなぁって思ったら嬉しくなっちゃって……」
少し頬を赤くして俯く羽瑠。
「そっ、そうか……」
日頃は男友達として接している為、時折見せる羽瑠の女の子っぽい仕草にドキッとする。
「じゃ、じゃあ、俺行くわ……」
「うん、ゆっくり休憩して来てね!」
ぬりかべから出る短い手を一生懸命振って見送ってくれる羽瑠。
教室を出た途端、何かが倒れる大きな音が聞こえたが、聞こえなかった事にしとこう。
と言う訳で、休憩となったんだが、若葉はまだ休憩じゃないし、瞬と雪菜も休憩じゃない。
「一人で回るのも何か寂しいな……」
ボソッと、寂しい本音を吐いた時だった。
「ししし、不知火君!!」
緊張のあまり裏返った声で誰かが俺を呼び止めた。
緊張される程、大それた人間でもないんだが……
最初のコメントを投稿しよう!