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裏返った声の主を確認する為に振り返るとそこには紫穂さんが立っていた。
「どうも、紫穂さん、こんちは」
「こんにちは、不知火君」
「見回りですか? お疲れ様です」
「いえ、休憩中です」
「そうですか、んで、何か俺に用ですか?」
呼び止めたんだから、用があるに決まってるんだろうけど……
「いえ、特には……」
ないんかい!!
「不知火君の姿が見えたので、呼び止めてしまっただけで……」
「はぁ、そうですか……」
「はい、そうなんです……すみません、用事もないのに呼び止めちゃって……」
「いやいや、そんな謝らないで下さい!!」
生徒会長に廊下で頭なんか下げさしたら、後々どんなヒドい目に会うかわかんないし……
「それじゃ、俺はこれで……」
用がないんだったら、紫穂さんも忙しいだろうしな。
そこから立ち去ろうとした時だった。
「あ、ああの!!」
また声が裏返っている。
「し、不知火君は今、暇ですか?」
「ええ、まあ暇って言ったら暇ですね」
「やった……」
小さくガッツポーズする紫穂さん。
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