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「あの……もし良かったら……一緒に文化祭回ってくれませんか?」
「へっ? 俺とですか?」
「はい……ぜひお願いします」
深々と頭を下げる紫穂さん。気のせいか、少し肩が震えている気がする。
「いや、そんな、頭なんか下げないで下さい!! わかりましたから」
「えっ、じゃあ……」
不安そうだった瞳が期待に満ちた輝きを放つ。
「俺で良かったら、いくらでも、お付き合いします」
特に断る理由もないしな……
「あああ、ありがとうございます」
俺の手を握り締め、嬉しさを体いっぱいに表現する紫穂さん。
「はっ、すみません……私ったらつい……嬉しくて」
握り締めた手を慌てて放し、アタフタする。
「それじゃ、回りますか?」
「はい、よろしくお願いします」
何をよろしくすればいいかは全く分からないが、とりあえず突っ立ってても仕方がないので歩きだす。
「紫穂さんはどっか行きたい所はあるんですか?」
「いえ、特には……不知火君におまかせします」
う~ん、おまかせしますと言われてもな……
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