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『いらっしゃいませ。』
『お客様、此処は男の遊廓の藍我楼でございます。』
『ニガテな方は即!Uターンを。』
『平気な方はどうぞ、ごゆっくり。』
ある日、藍我楼の色子たちは、なにやらそわそわしていた。
「どうしたんだ?」
一人の色子が同朋に聞いた。
その色子の名は、天満(てんま)。
紫暗の色の髪を持つ禿。
「新しい子が入ってくるらしいよ?」
「新しい子?」
「引っ込みで、お職だそうだよ?」
引っ込みと言うのは、将来有望になる禿のこと。
お職とは、一番売れっ子になると言うこと。
だから、みんなそわそわしていたわけだ。
―ガラッ!
次期妓楼主の柳壱が新入りを連れてきた。
「皆さん!この子が、新しく入った、桔梗です。」
そう言った柳壱の後ろから出て来たのは、とても綺麗な紺色の髪を持った子だった。
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