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「ビックリした………」
小さく呟きながらも、髪を撫でるてはやめない。
会っていないうちに伸びた髪が、年月を感じさせているような気がした。
ジークが帰って来るまで伸ばす。と言い張っていたから切るのか?と思っていると、アクアがまた身じろぎをした。
今度は、眠りの世界には帰らず、薄く目を開けている。
「おはよう。」
そう微笑んで言えば、まだ寝ぼけているのかアクアから返事はかえってこない。
それに苦笑しつつ、さっきと同じように「おはよう。」と言えば、脳が覚醒したのか、アクアが飛び起きる。
それに驚き、目を丸くしていると、アクアは目を何度かこすりジークを見つめてくる。
「おはよう。」
本日三度目となる朝の定番挨拶をすると、アクアはやっと返してくれた。
「お、おはよう………」
そう言って、恐る恐るといった感じに、ジークのほほに手を持って行き軽くふれる。
「夢じゃない………」
微かにそう呟いた声が耳に飛び込んできて、ジークはアクアが思っていたことをやっと理解した。
「本物だよ。」
アクアの手に自分の手を重ねれば、嬉しそうに微笑んだ。
「冷たい………」
ジークは慌てて手を離す。自分が外から帰ってきて間もないことを忘れていたのだ。
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