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口から、白い息をはきながらジークは白銀の道を歩いた。
(昨日のことを謝って……)
この後することを、頭の中で繰り返す。
(昨日の分………いや、会えなかった分だけ側にいて、抱きしめて、愛してあげよう。)
そう決めると少しだけ歩調をはやめる。
雪のせいで思ったよりも時間がかかってしまい、内心焦りながら家に着いた。
ドアを開けて中に入ると空気が冷えていて、まだアクアがまだ起きていないのを教えてくれる。ジークは静かにドアを閉めると、寝室に行った。
案の定、ベッドの中ではアクアが眠っていて、ジークは自分が安堵しているのに気付いた。
(あぁ、そうか…)
まだ心のどこかで、これが夢ではないか?と疑っている自分がいるのに苦笑すると、起こさないように寝室から出て、暖炉へと近づき火をいれた。
本当は朝ごはんを作ってあげたいところだが、左腕がないため出来ない。
ジークは、肩にかけていたコートを脱ぎ床に置き、また寝室に向かった。
アクアが寝ている横に座るとその安らかな寝顔を眺めた。
(夢じゃないよな……)
そう心の中で呟きながら、柔らかな髪を撫でた。
「んっ……」
アクアが身じろぎをしたため、起こしたかと身構えれば何事も無かったかのようにまた、寝息をたてる。
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