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私は教室のドアを開ける。と、中にいた真央が少しびっくりしたようにこっちを見る。
「おかえり、未央。話って何だったの?」
真央の問いかけに私は思わずビクリとしてしまう。
「……? 未央?」
そんな私の態度を不審に思ったのか真央が近付いてくる。そして私の顔を覗き込む。
「どうしたの、未央」
優しく問いかけてくる真央の声に再び私はビクリと体を強張らせる。
駄目だ、このままじゃ真央に心配させてしまう……
そう思い私は無理やりに笑顔を作る。
「な、何でもないよ! さっ、帰ろ?」
そう言いながら私は自分の鞄を取りに行く。
「未央? 何かあったんじゃないの?」
「何にもないよー」
再度尋ねてくる真央に私はシラを切る。
きっと真央は私に何かあったことに気付いている。でもそれ以上尋ねてくることなく真央も自分の鞄を取る。
「じゃ、帰ろうか?」
「うん、もう私おなかペコペコ」
この時ばかりは真央の優しさに感謝した。
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