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その隙に青年は素早くメールを送信すると顔を引き締める。
「それより、そろそろ行かなくては? クレイン・バラス中佐」
青年の顔付きが変わったのに気付くと、赤毛の男も顔を引き締める。
「そうですね、マオ・カツラギ大佐」
その言葉に青年は可笑しそうに吹き出す。
「君にそうやって呼ばれると背中が痒いよ、クレイン」
「何だよ、お前が畏まった言い方をするから合わせただけだろ」
「ハハッ、ごめんごめん」
言いながら青年は歩き出す。その後を赤毛の男も続く。
「でも、まぁ、気を引き締めていかなくちゃな」
「ん?」
「なんてったって、今から俺達が向かうのは激戦繰り広げられる前線だからな」
「そうだね。でもそこには君の愛しのシルヴィア嬢がいるんだろう?」
青年の言葉に赤毛の男は少し照れたように頷く。
「まぁね」
2人は廊下の突き当たりにあるドアの前に立つと右横にあるロックシステムにIDカードを挿す。
ウィーン……
静かな音とともにドアが開くと二人はその中に入る。
「さぁ、出発だ」
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