真央

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「うん、そうだよ」 「でも今日はちょっと時間かかるかもよ?」 「えっ、何で?」  僕が聞くよりも早く未央が友達に問いかける。そんな未央に呆れたような溜息を吐いて友達が教える。 「あんた……。さっき呼び出しくってたでしょ」 「あ……、そうだった。ごめん、真央、もうちょっと待ってて」 「別にいいけど、呼び出しって、何で?」  僕の問いに未央は首を傾げる。 「さあ? 何でだろ」  首を傾げながら未央はへらっと笑う。つられて僕も笑う。 「じゃあ行ってくるね。ちょっと待ってて」 「うん、分かった。いってらっしゃい」  未央は笑顔で手を振りながら教室を出て行く。僕も手を振りその姿を見送る。  今思えばあの時澪を送り出していなければ、無理やりにでも帰っていれば、何かが変わっていたのかもしれない。  今更……もう遅いけど。
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