始まりとはいつも唐突に

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「よくありませんよ! 僕は学園なんか通いたく――」 少年、カイは再び受話器に向かって怒鳴ろうとした。 「ふわぁ……。別に構わないだろ? お前も十七歳なんだから学園に通ったって罰も当たらねぇよ」 カイが会話している人物、エル=クラウザーは欠伸をしながら言った。 「そういう問題ではなくて! 僕には学園に通う資格なんか――」 カイは必死に反論しようとする。 しかしそれは受話器から発せられたエルの言葉に遮られた。 「はぁ……。資格云々の問題じゃないだろう。 それにこっちは毎日のようにお前の居場所を教えろって言う電話がかかってきてるんだ。 受けてもらわねぇと困るんだよ」 エルは溜め息をつきながら言う。 「居場所って……。どういう事ですか?」 カイは尋ねた。 「どこからお前の事を知ったか知らねえが、軍やら貴族の護衛やら、ガーランド帝国やらのお誘いが絶えねえんだよ」 エルは多少イライラしながら答えた。 「……それが学園に通う事とどういう関係があるんですか?」
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