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「だから、お前が学生なら断る言い訳が出来るだろ? そうでもなきゃ、強行手段に出されるんだ。お前がお誘いを受けたいっていうなら話しは別だがな」
「……僕は人殺しで栄職に就くつもりはありません」
カイは少し声のトーンを下げて言った。
「だろ? だから断る口実が必要なんだよ。しばらくすれば奴らも諦めるだろうし、それまでの時間稼ぎだ。っと……。んじゃ、俺は仕事があるから失礼」
「ちょっ! エルさん!?」
ガチャリという音がしたかと思うと、ツーツーという形式的な機械音がカイの耳に鳴り響く。
カイは小さく溜め息をつき、受話器を置くと、手紙が置いてある机まで移動した。
そして、ゆっくりと手紙を読み直す。
カイの手は無意識に胸の首飾りを握っていた。
(僕がまさか学園に通うことになるなんてね……)
カイは手紙を持ってベッドまで移動する。
「魔法学園……か」
カイはベッドに腰掛けると、窓から見える空を見ながら小さく呟いた。
空は今のカイの心境を表しているのかどんよりとした曇り空であった。
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