始まりとはいつも唐突に

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カイは翌日、学園生活に必要な物を買いに街で一番賑やかな通り「リーネス通り」に来ていた。 「リーネス通りにだけは来たくなかったんだけどな……。仕方ないか」 カイは通知書を見ながら呟いた。 リーネス通りは物凄い人通りであり、行き交う人で溢れ返っていた。 (制服は後で届くらしいし……。教科書は学校で配られると。なら服だけ買うかな) カイは通知書を丁寧に折り畳み、ポケットに入れると人混みの中に入って行った。 「ガキが! 何ぶつかって来てんだ! ちゃんと前向いて歩けや!」 服を買い終え、家路を急いでいる時、何とも物騒な声がカイの耳に入ってきた。 「あんたがぶつかってきたんだろ! このデブが!」 どうやら往来のど真ん中で口論しているようだった。 迷惑きまわり無いが、用事がある人々はそれを避け、暇を持て余している人々は野次馬となり、口論の様子を傍観していた。 デブと言われた少し太めな体型の男性は気にしていたのが額に青筋を浮かべた。 「ガキのくせに生意気な……! 俺はあのローランド家の一族だぞ!? そんな口を聞いて只で済むと思うなよ!?」
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