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「藤中」
「何よ」
「おもしろい?」
「映画?楽しんでほしいなら黙ってなさいよ」
「や、俺を見てほしい」
「は、意味わかんないんだけど?」
「手繋いでいぃ?」
「イヤ」
「……」
「ちょっ…触んないで…っ」
「やっとこっち向いた。でも映画館では静かにね」
「…はぁ、何なの」
「憧れだったんだ。映画の途中に目が合って、そんで見つめ合う」
「へぇ」
「冷たいね」
「映画を観てた私にはいい迷惑だわ」
「じゃあ映画、観れば?」
「じゃあ離れて。近くて危ない」
「危なくないでしょ」
「危ないわよ。何するかわかったもんじゃない」
「別に何もしないかもよ?」
「何それ。って言うか近いのよ」
「俺はそう思わない」
「私は思うの」
「だって近くで観てたい」
「なんで」
「好きだから」
「私は違うもの」
「それでも好きだから」
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