第一章 名家

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「ところで今日はなんの用です?お金は貸しませんよ。あなたに貸すと返ってこない」 「そんなこと言うなっていつか返すから。とりあえずはほれ」 とコーヒーを出してきた。 「おまえが猛士に入って何年になる?」 「さぁ2~3年じゃないすか」 「おまえはもう変身できて独り立ちしているな」 「えぇ。あなたもはやくしたらどうです」 ちょっと皮肉ってやった。 「実はそのことなんだ」 「え!?」 皮肉が通じないのは最大の皮肉だよな… 「この度おれは襲名することになった。襲名式は知っているな?それをやる」 「よかったすね。でそれと俺どう関係が?」 「襲名式には助役が必要だよな。しかも太鼓の」 ………嫌な予感がする。いやめんどくさい… 「別に太鼓は俺以外いるじゃないですか。それこそ本家に鬼はいなくても本家筋に…」 「俺とおまえだけだ」 「へっ?」 「正確には若人衆は俺とおまえだけだが」 「…何故俺?」 「親父が信頼してるならだれでもいいっていってるしな」 俺は別におまえを信頼しちゃいないんだけどな。 「とりあえずせっかく関東まできてんだ“たちばな”いくぞ」
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