第一章 名家

32/88
前へ
/147ページ
次へ
所変わって甘味処たちばな-- 「ごめんくださ~い」 「は~い。少々お待ちを」 元気のある声が聞こえ、女性が慌ててこちらへ向かってきた 「こんにちは日菜佳さん」 「あら~華也くん!それに甲斐くんも」 「あの~一応甲鬼です…」 「あ、そうでしたね。いや~独り立ちしたばっかだからついつい」 はははと笑いがおこる。 「ところで、事務局長は?」 「父上はちょっと吉野にいってまして、今日かえってくるんですけどね~」 「お前おやっさんに会いに来たのか」 「それ以外なんのためにたちばなに行くんだよ」 「いやただの顔出しかと…」 「なら俺一人でいくわ」 半ば呆れ顔で俺を見つめる。 変な空気を破ったのはそのときだった。 下からだれか上がってくる音がした。 「あれ?なにしてんだよお前ら」 数年前俺と組み手したへんなやつ。桐矢京介。もういまは強鬼だ。 「キョウキさん…」 「よぉっコウキ。と華也くん」 「いまわざと強調したろ」 「さぁね」 こいつらはまったく… まぁいがみ合うほど仲がいいってか。 「ヒビキさんは一緒じゃないの?」 「ヒビキさんはトドロキさんと鍛えにいってるよ」 「お前は鍛えなくていいのかよ」 「俺はもう午前にやったの。交代で店番しなきゃ日菜佳さん大変だろ」 「じゃあイブキさんは?」 「さぁね」 「そいえば香須実さんは?」 「姉上も今日はでていて…」 なるほど… どうやらしばらくまつことになりそうだ。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加