第一章 名家

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「それで?襲名式はいつなの?」 「大晦日に行いたいと思ってます」 「そいつは盛大だね」 華也はイブキさんの方に向き直った。 「イブキさんすみません。本来宗家のイブキさんは吉野に帰省しなければならないのに…」 「いいんだよ。これも猛士の仕事だし、たまには人助けならぬ鬼助けってね」 「華也くんはどうするんだい?今日はこっちにいる?」 「いえ、もう帰りますよ。準備が忙しいですし。コウキはできれば28か29にこっちに来させていただけませんか?」 「わかったよ。どっちになるかはわからないけどそんときはイブキも向かわせるよ」 「お願いします」 そういって華也は帰っていった。 「じゃあ俺たちも行くか」 「例の修行場ですね?」 「うん。今回は時間がないからな。キョウキは俺の凱火の後ろに乗れ」 「はい」 「じゃあイブキ、修行が終わったら連絡するよ」 「はい、ヒビキさんも頑張って」 「あぁ。ちょっくら若者に闘魂注入してくるわ。じゃあトド!留守をたのむぜ」「ウッス!まかせてください!ヒビキさんもコウキも頑張るっすよ!キョウキもコウキをよろしく頼むな」 「はい。トドロキさんも無理しすぎないでくださいよ」 「じゃあいこうか」 ブロロロ----   急に人がいなくなるとなんだか寂しくなるものである。 「いっちゃいましたね~」 物惜しそうに日菜佳は言う。 「まぁそういうもんよ男ってのは」 香須実も半分呆れつつ眩しそうに言う 「師走は忙しいね~」 「今年はトドロキくんと温泉にでも行きたかったんですけどね~」
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