第一章 名家

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「それは俺だって例外じゃない。胸はって鍛えました!っていえるぐらい鍛えてるけどまだまだ足りない。最年少最短時間で鬼になったけどその間には数々の苦労と成長があった。恥ずかしい話しだけど実は俺、運動音痴だったんだ」 「えっ!?」 「安達明日夢って知ってる?」 「話しは聞きました」 「うん。俺の親友でありライバルであり同じヒビキさんの弟子であり、共に競った仲だ。最初はあいつのほうができててね。結構嫉妬したよ。ヒビキさんと早くから仲良かったしね。周りもあいつの方が鬼になると思ってたらしい。けどあいつは鬼にはならなかった。別の道で人を助けることを選んだ。でもあいつがいなくなったから俺が鬼になれた訳じゃないと思ってる。あいつがいてもいなくても俺は頑張るつもりだったし。逆にあいつが頑張ってたからこそ俺も頑張れた。結果俺は最短で鬼になった。あいつも医者になった。俺は苦手な運動を頑張り、あいつは勉強を頑張った。それだけのことさ」 「…………」 「ま、お前みたいなやつは一回なにか掴んじまうと早いんだけどな。感じ方はいいぜ。あとは…。気づくことだ」 「気づく…」 「ひとついいことを教えたる。ヒビキさんの太鼓は型であって型じゃない。そういうことだ」 そういってキョウキさんは屋の方へ戻っていった。
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