忘れた笑い方

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-----さらさらさらっ。 爽やかな風がマキの頬をくすぐる。 その心地好さにそのまま寝てしまいそうになる。 (ここが公園のベンチだったらなぁ…) そう。 今マキが座っているのは病院の屋上にあるベンチ。 どんなに爽やかな風が心地好くても目に飛び込む景色で一気に現実に引き戻されてしまう。 『一年が正念場』 そう告げられマキが入院してから一週間が過ぎようとしていた。 「あ~ぁ……」 なんでこんなところにいるんだろう。 正直な話、マキは医師に告げられた病気をまだ信じられずにいた。 一体自分の体のどこが、人と違うのか----。
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