忘れた笑い方

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確かに一週間前まではみんなと変わらない生活で。 運動だって普通にしてたはずなのに。 「あ゛~やめやめ!!!!」 こんな答えのない自問自答、考え出すときりがなくなる。 ガバッと起き上がり、周りに視線を流す。 屋上から見下ろすと、下にはパジャマ姿の子供達と白衣を纏った青年が戯れていた。 白衣を着た青年は子供達から貰ったのか折り紙や野花を手にしてニコニコしている。 白衣姿からしておそらくここの医師に違いないだろう。 (担当医がアイツだったらイヤだな…) 青年の笑顔を見てマキは直感的に苦手なタイプの人種と感じた。 なぜ仮にも医師ならあんなに脳天気な顔で笑えるのか。 所詮人事だとでも思っているんだろうか…。 「……バカみたい…病室戻ろ…」 自分には関わりのない人種。 そう独り言のように呟き、くるりと踵を返すとマキはそのまま屋上を後にした。
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