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Y-side £ove
おれの恋は、いつだって自然消滅。
あれだけがんばって手に入れた、歳上のカノジョだって。
―――気がつけば、ほら。
おれの近くにはもう居ない。
「ちょっと勇也っ早くしなさいってば!」
定着したのは、おれの名前呼びだけ。
「わかってますってば、藤井さん」
相変わらずに下の名前なんかで呼べない。
―――や、呼んでた時期もあったけど。
「いい?今日は…」
皮の手帳なんか広げちゃって、出来るオンナですーみたいにさ。
つか、やっぱオレって元カレなのかよ?
「ちょっと勇也?聞いてるの?」
「~っ//わかってますってば!
今日の取引先は東済商事。名刺は両手で受け取る。すぐにしまうな。笑顔を忘れずにっ!」
いつまでもバイトくんじゃないんだから。
「ってか…」
振り向いた先、見えちゃった手帳の中身。
ハートマークの日付。
―――おれとのデートの日、そのマークしてたよね。
「あ…っ」
慌てて隠したみたいだけど。
「別に、誰にも言いませんし」
傷付いたのとはちょっと違う切なさ。
「行きましょ?藤井さん♪」
振り向いて可愛らしく首を傾げたおれは、もう笑顔。
―――今日の取引、ぜったい成功させてやる。
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