[サイド ストーリー] 好きの温度

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  ―――――――――― ――――――… 「あー…終電発車した…」 時計を見ながら呟いた。 ま、分かってたんだけど。 「…ほんとだし…」 同じように伸びをしながら時計を見た彼。 よく考えたら一晩一緒じゃん、なんて。 「藤井さんといいアネゴといい、なんでオレらばっかコキ使ってー」 「ほんと。ふつーヒトの会社で残業させねぇよな」 「プッまじだし!」 目を見合わせて笑った。 目尻にクシャッと出来たシワに、キュンと心が痛くて。 「ねぇ、黒沢さん?」 座ってる彼に、一歩近づく。 「この仕事終わったら、もう会えない?」 「え?…いし、だ」 見開かれた目が、視界に入ったけど。 無視してくちびるを重ねた。 乾いた感触を一瞬だけ味わって。 「いしだ、さん?」 びっくりするよね。分かってる。 暖かい涙が頬を伝う。 「ごめんなさい、黒さ…わっ」 途端、腰を引き寄せられて。 バランスを崩したけど。 「あの…//」 目を開けたら、そこは彼の腕の中で。  
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