[サイド ストーリー] 好きの温度

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  ――――――… 「おじゃましまーす」 スーパーの袋を下げた石田さんが、慣れた風に玄関をまたぐ。 ……手料理、はじめてだな…… 一瞬アネゴのコト思い出して、首を振った。 ……今は石田さんといるんだから…… 「遅くなっちゃったから、簡単なものでいー?」 腰で結んだエプロンが、細いくびれを強調する。 「あ、はい」 口にゴムをくわえて、長めの髪を後ろでまとめて。 露になった白い首筋から、目が離せない。 「あっきー?」 覗き込みながら、慣れた手つきで髪を結ぶ。 ……ヤバい…なんかヤバい…… カラダの芯が疼く。 「どしたの?」 首をかしげて、くちびるを無意識に舐めた。 ゴクン、と喉が鳴って。 思わず伸ばした腕。 有無を言わせず、湿ったくちびるを奪った。  
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