[サイド ストーリー] 好きの温度

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  薄い唇を食むように味わえば、戸惑いがちだった石田さんの空気が変わった。 「…あっきぃ…?…」 離れたくちびる。 上目遣いにちょっとおれを窺って。 でもそれは、OKってことでしょ? 腰にあった手で頭を固定して、激しく奪った紅いくちびる。 一歩下がった勇也が、ステンレスの流しに軽く当たった。 「…ふ…っん…」 合間に漏れる声とか、息づかいとかに。 酷く欲情して。 シュッと音がして、勇也がおれのネクタイを外した。 ワイシャツのボタンが全部外れたトキ、どちらともなく顔を離して。 勇也の手が伸びてきて、ベルトを外す。 おもむろに自身を掴んだ手は、確実な意思を持って動き出して。  
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