[サイド ストーリー] 好きの温度

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  「――っ//は、ぁ……っ」 荒い息づかいが響く室内。 「……く…っ……」 肩に埋められた顔。 「―――も、イク?――っ」 ラストスパートをかけるように、自分の手を添えて。 「…あっきぃ…」 小さく呼んだくちびるを塞いで、強く擦り上げた。 「んん――っ」 塞がれた口の中で、小さく勇也が叫んで。 「……くっ…は、ぁ……」 少し遅れて、おれも熱を吐き出した。 整わない呼吸のまま、まだどこかぼーとしながら見つめる、綺麗な瞳。 数秒見つめ合ったあと、もう一回、キスを迫ってきた勇也から、おれは顔を背けた。 「?…あっきぃ?」 呂律の上手く回らない口で、名前を呼ばれて。 「きょーは、も、ヤメヨ?」 目を合わせないまま、下手な笑顔でそれしか言えなかった。 石田さんが求めるのは、きっと、もっと先のセックス。 おれが応えられるのは、 ―――ココマデ。  
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