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Y-side £ove
「きょーは、も、ヤメヨ?」
斜め下から伺うように見てくるあっきーの瞳には、さっきまでの熱なんてなくて。
「…なんで?」
なのに、まだ余韻をひきずってたおれは
「ね、シよ?」
またすぐに新しい熱が生まれるだろうって。
もう1度合わせようとした唇を、今度はあからさまに反らされた。
「あっきぃ…?…」
何も言わずに、器用に流しの蛇口を捻って。
「手、汚れちゃったでしょ?」
気まずそうに笑いながら。
綺麗になったあっきぃの手が、おれの手を洗ってくれた。
「あっきぃ」
近くにあったティッシュで、汚れた自身をそっと拭ってくれた。
「ん?」
あっきぃは、優しい。
大好きで、大好きで。
「…ありがと…」
それなのに。
「どーいたしまして?」
ふふっと笑った顔に、胸が痛く締め付けられて。
泣きそうになったのは、どうしていい分からないから。
「おれ、着替えてきますね」
背中を向けて遠ざかる彼。
誘ってたつもりなのに。
はじめて“その気”になってくれたと思ったのに。
「おれ…魅力ない…?」
壁にかかった小さな鏡に問いかけた自分の顔が、酷く醜く見えた。
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