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「えー。またドタキャンかよぉ」
撮影の合間、大きな声で話してるあかにしの声を聞きながら、どきどきしてた。
「おれ今夜、ちょーヒマなの」
だって、“クル”って知ってるから。
「―――たく、わかったし。彼女、こんど紹介しろよな!
へ?ばーか。盗らねぇよ」
目に端にシワ作って、全力で笑う。
そんな彼が、“かず”は好き。
ざわざわした場所でも、その声は驚くくらいにハッキリと耳に届いて。
「かぁめ?」
ほら、来た。
「おれ、またぴぃに振られちゃった」
ちょっと悲しそうに。
眉尻なんか下げちゃって。
「そーなんだ」
そっけなく返すのは、心臓がどきどきしすぎてるせい。
……スナオじゃ、ない……
「なぁ?かめヒマじゃん?」
除きこんできた綺麗な顔に、今夜の約束を思い出した。
「……うん。」
たっちゃん、ごめんね。
ココロの中で謝って。
「じゃあ決まりー」
全力の笑顔の彼に、ちょっとだけ笑い返した。
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