死ぬのは、まだ…

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  少し歩いて、着いたのは親子向けの遊園地の近く。 不自然に掴んでた腕を、そっとあかにしが離した。 「なんか緊張すんな、それ」 鼻の頭をかきながら、不器用に言って。 「罰ゲームか、なんか?」 綺麗な瞳が覗き込んでくる。 ……核心に迫らないでよ…… 「ちが、くて…」 悟ってもらえるだけの、表現がほしい。 「かずが、着たいって思ったんだ」 ひらひらと揺れるスカートの裾が、腿に当たった。 「そっかぁ」 腑に落ちない表情をしながらも、優しく微笑んだその顔。 ……格好いいな…… キュンって音が聞こえるんじゃないかと思って。 「ま、ほらっあれ!…えと…かめに、んな趣味あるって初耳だけど、」 ……なんか、いらない勘違いもした…… あたふたしながら懸命に受け入れようとしてくれる。 「おれたち、親友だし」 ニカッと笑う。太陽みたいに。 ……親友、か…… 「ってコトで!メシ食お、メシ! ぴぃが予約したーっ!って騒いで…」 彼の中でかずは、どうしたって女の子になれないのかも。 「ね、あかにし…」 実は、気になってたんだけど。 「さっきから、周りに見られてない?」 きっと彼が格好いいから。 かずなんかじゃ、釣り合わないから。 「今さら?かめがんなキレーな格好してくるからだし!」 ちょっと紅くなって、そう言って。 ……じんが、スキ…… 我慢のヒモが、一気に切れたみたい。 「ゴハン、止めてさ」 ………ホテル行こっか…?…… 耳元で囁いた途端に、彼が「マジ?」って悪戯に笑って。 ぴぃちゃん、ごめんなさい。 せっかくのプレゼント、間違った風に使っちゃった。  
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