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「─────つーか、痛てぇ……」
隣に寝転んだあかにしが、そう言って笑った。
「……ごめん、ね…?……」
そっと背中のキズに手を伸ばしたら、その手を引き寄せられて。
「ま、いーよ。かめも気持ちかったんでしょ?」
かずが押し倒すような格好で、下から見上げてくる。
「な、に…///」
真っ赤になったのを、からかうみたいに。
かずのくちびるに、綺麗な指を這わせて。
「かめって、クセになりそう」
真剣な目をして言うから、どぎまぎする。
「……ば、か…なコト…///」
上手く交わさなきゃいけないのに、言葉に詰まる。
「えー…肌触りとか、めっちゃいいし。」
腰のラインを、スーっと手のひらが滑って。
「っ…///…やめて、よ…」
………心臓が、壊れそう。………
身体を捩ってその手から逃れて。
背中を向けたのに、感じた体温。
「……あかにし……?……」
抱きしめられた腕の中、首だけを捻って問いかけた。
「もーちょっと、このまま」
意外と近くで聞こえる声に、まともな思考は働かない。
黙ったままでいつの間にか、意識は闇に飲み込まれていって。
「……きろ、かめ?…起きろって…」
「……んー?…ん……」
「あーっだめ!目ぇ擦んなっ!!」
叫んだあかにしの声にびっくりして、一気に頭が覚醒した。
「ちょ、かめ…顔すげーことになってる」
眉尻を下げて、どーしよう、と首を傾げる。
「…あ、かに…」
声を出したら、喉がカラカラに掠れてて。
「あ、これ飲めよ」
差し出されたミネラルウォーターが、身体に染み込んだ。
「とりあえず、先に風呂入ってて?メイク落として来い。な?」
「あー…うん……」
立ち上がろうとしたら、たらーっと内腿をなにかが伝う。
「…───っ」
思わず、また元の位置に座り込んだ。
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