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P-side £ove
「で、どうだったー?」
次の日の夜。
おれはかめちゃんに電話をかけた。
「んー……サイアク?
なーんて。サイッコーだった」
ありがとう、と自嘲気味に笑ったキミ。
知ってる。
かめちゃんがじんの“誘い”を断れるワケがない。
──おれ、かめとセックスしちゃった──
親友のその言葉を聞いたときは、頭がくらくらした。
──またヤろーつったらさ、かめが「彼女いる」ってゆーの。
なぁ、なんか聞いてる?──
──さぁ、知らね。
つーかオマエ、かめちゃんのことセフレにする気?──
──は?意味わかんねぇ。
かめはぁ…親友だっつーの。1回セックスしただけじゃん──
その1回が、“親友”を傷付けたって。
オマエ、知ってる?
そのひと言は飲み込んだ。
「ねぇ、この前の告白。
いい返事はもらえそう?」
「ぶはっ//からかうのヤメテー」
電話口でケラケラ笑って。
「えー…。おれ、ホンキだよ?」
お茶らけて言えば、聞こえたのは鼻をすする小さな音。
「………かめちゃん?」
「ぴ、ぃ…───っ」
今すぐ、強く抱きしめたい。
「……かず、も、ヤダ…イヤだよ……」
泣きながらのそのひと言に、
いったいどれくらいの時間が詰まってる?
「大丈夫だよ、かず?大丈夫。」
優しく、あやすように。
「ふっ…ぴぃ、ちゃ…」
堪えきれない。
そんな涙なんでしょ?
「今、どこにいるの?」
一瞬、電話口の向こうで、空気が止まって。
「………うち、」
アイツみたいに鈍くないかめちゃんが。
それは、OKの合図だよね?
「すぐ行くから」
適当に着替えて。
車のキーを掴んだ。
イブの夜にひとりで泣いて過ごすヒトなんて、居ちゃいけないハズ。
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