お月さまの向こう側

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  登録したばかりのアドレスに送るメールは、なんだかドキドキする。 「なかなか休み、取れそうにないかも」 そんな内容でも、打ったメールに返ってくる彼の返事は優しい。 「かーめ。なにニヤけてんの?」 後ろからいきなりダイブしてきたあかにし。 「わっ//ちょっとー」 慌てて閉じた携帯を見て、「カノジョ?」なんて聞いてくる。 「……ぇ……」 そのひと言に上手く切り返せなかったのは、まだ彼に未練があるから。 「なに?もしかしてビンゴ?」 と、騒ぎはじめたあかにしに 「うるさい」 楽屋の隅から飛んできた鋭い声は、うえだのもの。 「は?意味わかんね。カメと話してただけじゃん」 ケンカ腰に言い返したのを、うえだは綺麗にスルーして。 騒がしい風景は、平和そのもの。 あかにしの騒ぎ声をかずの中から追い出したのは、ピンクに光る携帯のランプ。 跳ねた心臓を悟られないようにそっと、楽屋を出た。 「……もしもし?」 『あ、かず…ちゃん?いま、だいじょうぶですか?』 電話越しの、優しい掠れた声。 「うん、ちょうど休み時間なの」 途中、すれ違った人に会釈をしながら。 辿り着いた休憩所で、少し雑談をして。  
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