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結局、送信ボタンは押さずに。
カバンに携帯を放り込んだ。
打った文章は、跡形もなく消えた。
見た時計は夜中を回って。
かずちゃんが消えた方向に走り出す。
走ったって歩いたって、本当は変わらないんだけど。
乗り込んだ電車はゆっくりと走って、だけど確実にキミの元に向かった。
送っても返ってくるエラーメール。
かけても繋がらない番号。
だけど消せないキミの名前。
もしかしたら家だって、引っ越してしまったかも知れない。
………だったら会社に行ってやるし。
逃げられたら追いかけるなんて、どうして今まで気づかなかったんだろう?
降りる駅の名前が流れて、スピードが落ちてきた電車。
石田さんの住んでいたアパートが一瞬、窓から見える。
電気は、ついてない。
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