お月さまの向こう側

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  ふと、カメがさっき見上げてた方向に視線を向ける。 そこには、俺からは見えなかった月。 寄り添うように輝く星がひとつ。 他のどんな光にも負けないくらい、力強く輝いていた。 「カメが星になったら、あんな感じだろうね」 ふっと思ったことが口に出た。 「え?どれ?」 カメも顔を外に向けるから、 「月のすぐ下で光ってるヤツ」 そう答えた。 案の定、カメはちょっと膨れてみせたけど。 「だってカメ、負けず嫌いだし」 笑って返した言葉に、一瞬、きょとんとして。 「アハハハハッ」 突然、腕の中で身を捩って笑い出した。 久々に聞いた、その笑い声。 何がおかしかったかなんて謎だけど。 「ハハッ…もー、たっちゃんが変なこと言うから笑っちゃったじゃん」 一通り爆笑したあと、カメはスッと俺の腕から抜けて。 「やっぱり、たっちゃん大好き」 迷いのない笑顔でそう言った。  
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